天使に、いつか会う日。

−3−

『どうして、あなたは私の言う事が分からないの!?あなたの為を思って言っているのに!!』
 溜息と一緒に吐き出される言葉。それがどれだけ、傷つける行為かも考えずに。
『……だから……』
『もう、いいから、あっちへ行ってて!!』
 伝えたかった言葉は遮られ、反論も許されず、お互いの傷だけ残って……。それは、大切だからこその深い傷になる。分かっていても近付きたかったから、何度も繰り返してしまった。そして、それこそがもっとも深い傷になった。

 違う存在なのだから、全て完全に理解する事など、出来ないのに。何故、努力をも認めてくれないのだろう。
 親から受ける傷を思う度に、そう思っていた。そして、同時に、自分がとてもひどい人間になったように感じていた。
 声に出さずに責め立てる、その言葉は親と子、互いの心に届き深い傷を付け合っていたから。
 その思いはどんどん心を蝕んでいき、素直に笑えなくなった。心の限界まで、我慢するようになっていった。

 ……お互いに思うものが違いすぎるだけ。望みが分かっていても、叶える為には自分が、お互いが壊れるしかなかったから、譲れなかった。

 そんな事が分かったのは、ずっと後だった。価値観の近い人達の中に、自分の居場所を手に入れてから知ったのだ。
 それでもまだ、クリスマスの雪を望んでいる。それはまるで、心を近付ける為に必要な、鍵であるように。











                   次のページへ